代数的符号理論と組合せ論およびそれらの応用

大学院自然科学研究科 情報電気電子 工学専攻 応用数理講座
教授・城本 啓介

URL:http://www.srik.kumamoto-u.ac.jp/
E-mail:keisuke@kumamoto-u.ac.jp
代数的符号理論とその応用
 符号理論とは,デジタル情報を伝送・記録する際に生じる誤りを理論的に訂正するための誤り訂正の理論(Figure 1)であり,CD等の記憶装置や2次元バーコード等にも幅広く利用されている(Figure 2).また,数学や数理物理学等における様々な分野と密接に関連した研究分野であり,その代数構造に着目して符号の構成や解析等の数理的研究を行うことが代数的符号理論である.
 特に,“良い”性質をもった符号の存在・構成問題に対して,加群論やホモロジー代数等を積極的に導入して行う符号理論の代数学的研究を軸に,量子通信をはじめとした量子情報処理で有用とされている量子誤り訂正符号の解析に関する応用研究を行っている.
組合せ論とその応用
 秘密分散共有法とは秘密情報を分散させ,意味のない分散情報を散りばめることによってセキュリティを高める情報理論の手法の一つであり,個々の分散情報からは元の情報を一切類推することが不可能なため,情報漏洩の防止策として有効である(Figure 3) .数理的研究としては,様々な数理構造を用いた構成法の提案や安全性の検討等が課題とされている.特に現在まで,有限体上の連立方程式を利用した閾値法や各種組合せ構造からの構成法等が個別に提案されている.
 そこで,符号理論や組合せデザイン・マトロイド等の組合せ論の統一的理解をもとに,秘密分散法の構成に関して真に必要な数理構造を抽出することで,理論的構成法の研究を行っている.

[キーワード] 誤り訂正符号、秘密分散法、量子情報理論