【抗マラリア活性を指向した新規有機過酸化物の合成】
抗マラリア活性を持つ化合物として注目を集めているArtemishia annuaから単離された天然物artemisininは環状過酸化物構造を持つ。
抗マラリア活性はこの過酸化物構造に由来することが知られている。しかし、有機過酸化物は一般的に不安定であり、そのような化合物を収率よく合成することは有機合成的には極めて困難である。
当研究室では30年にわたる炭素ラジカル反応の研究過程で、マンガン(III)化合物を用いた触媒酸化反応によって新規な有機環状過酸化物や有機過酸化物が収率よく合成されることを発見した。
その合成法を用い、今日までに窒素や酸素を含む複素環を縮環した様々な有機環状過酸化物や有機過酸化物を合成してきた。
現在、このマンガン(III)に基づく触媒酸化反応を用いてさらに複雑な構造を持つ窒素複素環を縮環した二環性や三環性環状過酸化物の合成に取り組んでいる。その他、天然物の基本骨格合成に関する研究を推進しています。 |
【ラジカル環化反応を利用した有機化合物の合成】
金属酸化剤を使って1,3-ジカルボニル化合物から求電子的な炭素ラジカルを生成させ、電子過剰な有機分子との間で分子間および分子内環化反応を行い、新規な機能性を持つ大環状複素環化合物の合成を行っている。
また、アリール置換ジヒドロフラン誘導体に高圧水銀灯を照射すると分子内光環化反応が起こり、多環式芳香族化合物が合成できる。
この光化学反応を利用して、簡単な芳香族化合物から機能性を持つような複雑な芳香族化合物の合成を目指しています。
たった1人の教授と大学院生、4年生の総勢21名で日夜研究に励んでいます。
ベトナム、バングラデシュ、中国からの博士課程留学生を受け入れ、修了生たちはそれぞれの国の大学研究機関で研究を続けています。
また、大学院修了者は化学および化学関連企業、公務員、高等学校教員など就職率100%を誇っています。 |
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