機能性糖質の医薬分野への応用

大学院生命科学研究部 総合医薬科学部門 生体情報分析医学講座 薬剤情報分析学分野
教授 入江 徹美
准教授 入倉 充

E-mail:tirie@gpo.kumamoto-u.ac.jp
E-mail:ikura@gpo.kumamoto-u.ac.jp
環状オリゴ糖シクロデキストリンの有効利用
 デンプンに特殊な酵素を作用させて得られるシクロデキストリンは、6~8個のグルコースが環状に連なった分子であり、その3次元の分子内環構造の中へ、種々のゲスト分子を取り込み、包接複合体を形成する。 取り込まれた分子は、本来の分子とは異なる物理化学的性質を帯びる。このような包接現象は、物質の可溶化、安定化など、医学・薬学・農学・食品科学などの幅広い分野で利用されている。
当研究室では、シクロデキストリンを様々な分野に応用する際に必要とされる、最新の情報提供や技術的支援が可能である。
これまでに、シクロデキストリンを含有する医薬品や臨床検査試薬の開発に貢献してきた。 特に、臨床検査試薬(血清中高比重リポ蛋白質中コレステロールおよび低比重リポ蛋白質中コレステロールの自動分析用試薬)は、すでに上市されて、世界中で広く臨床使用されている。
ホスホエノールピルビン酸の有効利用
 生体内で最も高いエネルギーを有するリン酸化合物ホスホエノールピルビン酸 (PEP)は、1)媒介輸送を介して細胞膜を透過し、そのエネルギーをATPとして細胞に迅速に供給できること、2)その代謝物2,3-ジホスホグリセレート(2,3-DPG)がヘモグロビンと酸素の結合を弱め、酸素を末梢組織に効率良く供給できることが知られている。
当研究室では、再生医療・移植医療における細胞・組織の賦活液あるいは保存液としてのPEPの応用の可能性を追求している。
最近、九州沖縄農業研究センターとの共同研究で、PEPによる家畜卵巣の保存性の向上を見出し、九州管内の農業研究センターとの連携を図り研究展開している。
当研究室では、PEPに関する最新の情報提供や技術的支援が可能である。
シクロデキストリン

ホスホエノールピルビン酸
[キーワード] シクロデキストリン、DDS用担体、包接複合体、ホスホエノールピルビン酸、ATP供給担体、酸素供給担体