熊本大学研究シーズ集->プロテオミクスを基盤とした システムズバイオロジーによるがんの解明

プロテオミクスを基盤とした
システムズバイオロジーによるがんの解明

大学院生命科学研究部 成育再建・移植医学 腫瘍医学分野
准教授 荒木 令江

URL:http://srv02.medic.kumamoto-u.ac.jp/dept/tumor/index.html
E-mail:nori@gpo.kumamoto-u.ac.jp
 
研究プロジェクト名および概要
  • がん幹細胞の自己複製、分化、アポトーシス、転移に関わる細胞内分子群の解明
  • 融合プロテオミクスによる腫瘍抑制/促進分子群の構造と機制御に関する研究
  • がんに関連するタンパク質の翻訳語修飾および選択的分解機構に関する研究
  • 抗がん剤耐性に関わる細胞内分子メカニズムに関する研究
  • 疾患ゲノム・トランスクリプトーム・プロテオームの総合的解析方法論の開発
  • プロテオミクスを基盤とした病態システムズバイオロジー教育拠点の構築(熊本大学拠点Bプロジェクト)
 
研究内容
 私たちの教室では、世界中で患者数が最も多い疾患であるがん/腫瘍に関して、その発生・進展や転移、薬剤耐性機構等の複雑な分子メカニズム解明のため、がん研究の歴史的背景と基礎的な概念をふまえた最先端の腫瘍医学研究を展開しています。特に当教室で開発した国際レベルのプロテオミクス技術を駆使し、分子生化学、細胞生物学、バイオインフォマティクスを融合させて得られた基礎情報から、病態モデルへの応用など、システマティックな研究方法論はユニークなものとして注目されています。 主に、がん幹細胞、神経系腫瘍細胞を中心とした各種腫瘍の細胞増殖、分化、細胞死に関わる分子シグナルの破綻メカニズムの解明と、オーダーメイド医療への応用を目標に、関連する分子群の総合的な解析を進めています。スタッフの専門分野は、腫瘍生物学、生化学、分子生物学、蛋白質学、口腔外科学、脳神経外科学、細胞生物学、薬学と多彩で、腫瘍医学研究に常に最先端の多角的アプローチで挑戦しています。私たちは、腫瘍の発生や進展のメカニズムを解明し、基礎腫瘍医学で得られた知識が単なる知識にとどまらず、最終的には臨床面に貢献しうるものになることを目指しております。
融合プロテオミクスによる癌特異的分子の統合的解析ストラテジー
 悪性脳腫瘍幹細胞の解析の例:2種類のプロテオミクスとDNAアレイ解析によって差異のあるすべての分子群を同定後、 コンピュータシミュレーションにより重要候補分子群を抽出し、生物学的検証実験の後、臨床マーカーや治療ターゲット、 予防・創薬のための基礎情報として応用する。
 戸田/荒木 編集「疾患プロテオミクスの最前線、プロテオミクスで病気をなおせるか?」 遺伝子医学2005(全396頁)
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ソフトウェア開発
独自のタンパク質機能解析ソフトウェアを開発しました。
●MANGO (Molecular ANnotation by Gene Ontology)
   http://133.95.81.133/soken/kumamoto/index.html

米国分子生物学会誌
“ASBMB Today August 2009”にて月間トップトピックスとして紹介されました。
Mol.Cell.Proteomics, 8(10):2350-67, 2009
iPEACH (integrated Protein Expression Analysis CHart) 公開準備中
[キーワード] がん幹細胞、プロテオミクス、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、腫瘍関連タンパク質、抗がん剤
 研究プロジェクトは、熊本大学拠点形成研究B(プロテオミクスを基盤とした病態システムズバイオロジー教育拠点の構築)および、文部科学省、厚生労働省、JSPS、JST、NEDOなどより採択され、日本国内のみならず、国際的な研究拠点を目指して、ハイレベルかつユニークな産学官連携の共同研究を展開しています。