一般的に高分子の屈折率は1.4~1.6程度であり、かつ、その調整は困難である。これまでに、硫黄やハロゲンを導入した高屈折率高分子が実用化されているるが、特殊な構造が必要である。また、ジルコニアやチタニアナノ粒子を高分子と複合化した高屈折率化技術もあるが、大量の導入は困難である。

本技術では、爆轟法で製造されたナノダイヤモンド(ND)を高分子と複合化することで、屈折率が1.8を超える高分子材料が得られる(図)。

また、溶液とすることが可能であり、ソフトプロセスでの成型・加工も可能である。ポリビニルアルコール(PVA)をNDにより高屈折率化し、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)と多層薄膜を作製すると、金属を全く含まない誘電ミラーを構築できる。PVAとPMMAの屈折率はほぼ同一であり、多層膜誘電ミラーの構築には適さないが、NDを複合化してPVAを高屈折率化することにより、PMMAとの屈折率差が生じ、反射を生じさせることができた。

以上のように、NDはダイヤモンドの高屈折率性を有しており、かつ表面に多数の極性基を有しているために高分子との複合化が容易であり、かつ透明な薄膜を作製できる。化学的にも安定であり、かつ金属を含まないため、耐久性に優れた高屈折率高分子材料としての利用が期待できる。