生物の成長に必須の元素や有機物は,森林や農耕地土壌等から河川及び地下水に流れ込み,沿岸域に至る(Figure 1)。これらの物質の挙動を調べ,上流における土地の利用条件や季節的な変動が下流の生物生産性にどのように寄与しているかを分析している(Fiugure 2)。あらゆる生物は,その成長に栄養素を必要としており,栄養素の存在量は,環境中における特定の生物の存在量や,生物の豊かさを決定づける主因子の1つとなっている。水環境においては,ある水域に栄養素が過剰に流入してきた場合に有害な生物の大量発生が生じることや,栄養素の流入が減少して生物生産性が低下することがある。したがって,我々は上流と下流の栄養素の動態を把握し,適切な河川流域管理を行っていく必要がある。

 また,特に鉄は,これと結合する溶存有機物がなければ容易に凝集沈殿してしまう必須元素であり,量的な特徴のみではなく質的な特徴も含め,自然界中の有機物の挙動解析を行っている。


Figure 1 Environmental behaviour of nutritional materials

 


Figure 2 Dissolved organic carbon eluted from various lands