親会社Aに勤務するX氏が、定例の人事異動で、A社に籍を残しながら子会社Bで働くようになったら(これが「在籍出向」の辞令)、A社・B社・X氏、この3当事者(場合によっては、A・B両社の労働組合も絡んで5当事者)間の法律関係はどのようになるか、あるいは、いかにあるべきかを考えるのが私の研究の核心です。
 この課題と向き合うために、ドイツにおける真正貸借労働関係(echtes Leiharbeitsverhaeltnis)という在籍出向に類似する3当事者関係を対象とした研究にも注目しています。
 また、上記研究の遂行に際し、労働法学にとっては古くて新しいテーマである「労働者」性「使用者」性(X氏はA・B社いずれにとって「労働者」か?逆に、X氏にとってA・B社いずれが「使用者」か?という問題)や、在籍出向とは似て非なる「労働者派遣」関係の研究にも目配りが欠かせません。