●ベクトル束のモジュライ

射影的代数多様体上で半安定なベクトル束全体には代数多様体の構造が入り、ベクトル束のモジュライと呼ばれる。これは幾何学的不変式論で構成される多様体として重要な例を与えている。ベクトル束のモジュライは、それ自身代数多様体の例を与えること、および、下部の代数多様体の不変量とみなせること、などから幾何構造が研究されている。

 

●モジュライのコンパクト化

非特異な射影的曲線上で半安定ベクトル束を考えると、モジュライはコンパクトになるが、特異点を持つ射影的曲線上ではベクトル束だけを考えていてはモジュライはコンパクトにはならない。そのため半安定な捩れ無し層を加えてコンパクト化する。このコンパクト化されたモジュライ空間の構造の研究は、モジュライ上の直線束の大域切断を調べる際に有効である。

 

2次曲面上の半安定層

2次曲面上の層のうち第一チャーン類が対称なものがいつ存在するかを解析し,高さが零のモジュライ空間を箙の表現空間として記述する.