● ディラック電子系の磁場中の理論計算

 2次元物質のグラフェンや2次元有機導体のα-(BEDT-TTF)2I3は質量ゼロのディラック電子系として知られている。この物質の理論研究を強束縛モデルを用いて行っている。

 2次元の伝導面に垂直磁場を印加した場合、エネルギー固有値を求めるためには、パイエルス位相を用いた定式化が行われる。特にα-(BEDT-TTF)2I3は、近接の飛び移り積分が7種類あるため少し複雑である。図1にα-(BEDT-TTF)2I3の磁場中のネルギーの磁場の強さ依存を示す。図2はフェルミエネルギー付近のエネルギーの拡大図である。強磁場下で強束縛モデル特有のフラクタル的なバンド構造が確認できる。