天文学の研究は遠方の天体から放射される電磁波の観測によってなされるものであり、直接手に触れたり実験したりできるものではない。また観測される電磁波も大きなノイズや地球大気によるバイアスなどを含んでおり、有用な情報を簡単に引き出すことはできない。そうでありながら、近年大型の望遠鏡が次々に建設され、膨大な量の観測データが生み出されている。

 このように現在の天文学はノイズやバイアスが大量に含まれたビッグデータをどのように処理して情報を引き出すかという問題に直面している。
 本技術は、従来人間の目や人間の考えた判断基準で行われてきた天文学のデータ解析を高度な統計手法や機械学習によって効率的にそして精密に行うものである。

 特に、パルサーやクェーサーといった電波天体は、本来はマイクロ秒スケールの時間分解能で実行した観測データを複雑に処理することによってようやくが判別できるものであるが、ニューラルネットワークにより少数の特徴量を用いるだけで判別できるようになる技術を開発している。

 また、スパースモデリングによってフーリエ空間の限られた情報から元の実空間の情報を取り出す技術の開発も行っている。