化学物質の濃度測定は,環境,生体,生産物などの試料に対し,あらゆる場面で行われている。機器による測定では,迅速かつ高感度な自動分析も達成されている。しかしながら,機器分析では,濃度既知の標準物質によるシグナルと試料から得られるシグナルの比較によって濃度が算出されており,高純度かつ安定な標準物質が入手できない場合,濃度を求めることができない。そこで,分離カラムで物質ごとに分けた後,化学的・物理的な手法で,有機化合物をCO2に変換して定量する手法を開発した。本法では,あらゆる有機化合物をNaHCO3で作成した検量線により定量可能であった。すなわち,様々な有機化合物に対して,炭素含有量に基づく応答を示すことから,標準物質フリーな定量分析が可能であった。ホルマリン中ホルムアルデヒドの純度測定や,飲料物試料中の糖や有機酸の定量に適応可能であった。

Ohira et.al., Analytical Chemistry, 90, 6461 – 6467 (2018).