金属やセラミック材料の力学特性は,多結晶材料に不可避的に存在する「結晶粒界」に著しく影響されます。したがって,材料研究において粒界問題を避けて通ることはできません。結晶粒界は方位の異なる2つの結晶粒の境界であり,この領域は原子配列が結晶粒内とは異なっていることから,結晶粒界の性格構造に依存して多様な粒界特性が現れます。本研究室では,さまざまな実験手法や理論的計算手法を用いて粒界の諸特性に関する基礎的研究を行うとともに,粒界の多様性を積極的に活用して新たな材料の創製を目指す「粒界工学」研究に取り組んでいます。従来の材料開発では,さまざまな元素の添加による合金開発が主に行われてきましたが,元素戦略の観点からは,合金元素に頼らない材料の開発,発想の転換が必要です。従来組成の材料であっても,粒界・界面を設計制御することによりさらに優れた特性を発現させることができる粒界工学は,元素戦略やSDGsの観点からも新しい材料開発技術として大きなポテンシャルを有しています。


【これまで実施したプロジェクト】