1. 研究概要
    頭頸部扁平上皮細胞癌は、鎖骨の上から脳の下までの頭頸部領域に生じる癌である。頭頸部は頸動脈、脳神経など人体の生存に不可欠な構造物が複雑に絡み合っており、癌が生じた場合には主な構造物の損傷なしに癌細胞を完全取り除くことが非常に難しいことである。さらに患者さんの手術後の生活の質の低下の問題も深刻である。現在の頭頸部癌の治療は、潜在的な転移リンパ節を取り除くために、血管造影剤を入れた後、疑いの部位を取り除く方式で進行されているが、この方法は成功率が30%未満である。また原発腫瘍の切除する時、手術中の腫瘍の範囲を正確に把握することができないし、残存癌の存在を確認することができない問題がある。残存癌の有無によって患者の生存率は大きく差があるので、手術中に正確に把握して癌を完全に除去することが重要である。そのため、本研究では、スプレータイプの直接噴射可能な多標的知能形造影剤を作製し、手術の際に癌細胞の境界面をリアルタイムで正確に把握し、区別して残存癌と転移リンパ節の除去を助けることができる画像処理システムを提示しようとする。


     
  2. 研究内容の挑戦性
    現在、頭頸部がんの切除は、手術前の映像学情報をもとに、医師の触感や視覚に依存して行われており、残存がんの疑い部位を凍結切片検査で確認している。でもこの方法は正確率が落ちるし、リアルタイムで確認できないという限界がある。本研究で開発しようとする多標的知能形造影剤を利用する場合、癌細胞の境界部の上に過剰発現される因子を特異的に認識し、癌細胞の造影効果が増大することが期待される。また、がんの位置的特性の上、表面にスプレータイプで造影剤を注入して手術中のリアルタイムの高精度のナビゲーションが可能と考えられる。
     
  3. 得られる研究成果の革新性
     本研究で提示する多標的知能形造影剤は、今までの断片的な血管造影剤の限界を超える癌細胞 - 転移誘発酵素の相互関係映像化技術を提示することで、腫瘍微小環境への理解を深めることができる。
     また、残存がんの正確な除去を通じてがん患者の生活の質を保つながら、生存率を高めるための戦略として、様々な病気に適用し、拡張が可能になる。本研究課題の実行が成功すれば、がん治療技術に関する各種バイオマーカー及び標的/感応新薬開発と検知技術の開発のための重要な基礎資料として期待されている。
     標的化、映像化技術と、この技術をベースにした本来存在した腫瘍の精密な切除、及び潜在的転移リンパ節の精密な探索戦略は新概念の医学技術の中でもっと上に立つことが出来る。そして飽和状態と思われる現在のがん治療技術を置き換えることができるブルーオーシャンとして期待される。