技術の概要と特徴
- 本技術は、アルツハイマー病の主な病理的原因の一つと考えられている、脳内アミロイドβ(Aβ)の蓄積を、磁場を用いて画像化を行う医療装置であるMRIを用いて可視化(図1、2)、もしくは定量評価する技術を提供するものです。
- 臨床用MRIを利用可能で、メーカーを問わず利用できますが、利用する画像情報に位相画像を用いているため、これを取り出す必要があります。(通常ほとんどの機種では取り出すことができます)
- 撮像には平均的なMRI撮像時間(< 5 min)を要しますが、解析は撮像後に行うpost-processionであるため、被検者に負担をかけません。
- 提供できるAβの情報の他に、撮像に用いた位相画像情報を用いてアルツハイマー病で頻回に見られる微小出血画像情報も得られるため、1度の撮像で臨床診断に必要な情報が多く提供可能です。
- 研究結果では、Aβの沈着を定量化したものが、重要な臨床指標であるMMSEと相関する事が明らかになっています(図3)。
技術の優位点
- 臨床用MRIで実現可能であり、追加の機材導入が不要なため経済的負担が少ない
- 研究結果では定量的に結果を示すことが可能なために、臨床評価との相関がとりやすい。
- 認知症との関連がある、脳内微小出血を同時に検出可能である。
- 特許が成立しており、競合技術も無い
社会的波及効果
- 臨床機で稼働する医療技術であるため、世界的に利用可能
- 被ばくがないため、繰り返しの検査が可能。スクリーニング検査に適している
- MRIを用いるため、医療保険によって診断が可能
- 世界的なアルツハイマー病の増加傾向に対して、有効な検査法となり得るため、世界的にインパクト大
- 軽度のAβ沈着を検出できると考えられるため、早期検診に有用
将来展望
- アルツハイマー病だけでなく、レビー小体型認知症などにも適用可能であることが、学会で認められているため、多くの認知症への適用を早期に進め、社会実装を目指します。
- AI等との組み合わにより、精度の高い診断情報の提供を目指しています。