新しい学習指導要領では、未来の創り手となるために必要な資質・能力を育むことを理念としている。その資質・能力とは以下の3点である。

(1) 知識・技能の習得  (2) 思考力・判断力・表現力の育成  (3) 学びに向かう力・人間性等の涵養

 この資質・能力を育成するために、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点から、従来の授業の在り方を改善するように求められている。したがって、ICTはこのねらいを達成するための「道具」として位置づけられることが望ましい。

 では、授業をどう改善するか。一言で言えば、学習者の視点に立った授業改善ということになる。

 友達の正しい答えを聞く、教師の説明を聞く、といった頭の中に情報を入れるというインプット型の学習では、時間が立てば忘れてしまうことも多くなる。そこで、教師が何をどう教えるかといった授業設計ではなく、児童生徒がアウトプットを起こすような授業への改善を行う。たとえば、児童生徒が教え合う授業や発表や討論、作品づくりなどの活動を学習の中に位置づけていく。すると、児童生徒はその過程で仲間と話し合わざるをえなくなる。また、教えたり発表したりする内容を充実させようとすれば、自ずと知識や技能を獲得するようになっていく。

 だが、このような活動中心の授業では、ややもすると学習内容や学習方法が曖昧になってしまう。そこで、教師はリフレクションである学習の振り返りを確実に行わせていく。リフレクションは「楽しかった」「難しかった」といった授業の感想ではない。「自分たちは何を学んだのか」といった内容知と「自分たちの学び方はどうだったのか」といった方法知を言語化するということである。その活動の中で、自己評価や相互評価を行っていく。「〇〇君の〜といった発言が良かった」とか「〇〇さんが私の話をよく聞いてくれた」といった友達へのプラスの評価を促していけば、学習はさらに促進されていくことになる。こうしたアウトプット型の授業に、ICTが極めて有効に働くのである。

 こうしたアウトプット型の協働学習を教員に理解してもらうためには、教員自らがそのような学習を体験することが望ましい。そこで、現在、ICTを活用した協働学習のための教員研修の研究を行っている。