高度経済成長期に建てられた多くの構造物の検査が必要になってきている.一般的な検査手法である打音法やサーモグラフィー法は,コストが高かったり,検査に長い時間がかかったりする問題がある.そこで,新しい効率的で安価な構造物の検査手法が求められている.また,地震や豪雨などの災害の対策として,トンネル,橋梁,のり面の定期的な点検が重視されてきている.

 本非破壊検査法(水撃音響法)は,ウォータジェットを構造物に当てて,その音響から構造物のうきやはく離を検出する方法である.水を連続的に放出すると,表面張力によって水滴化する.水滴は周期的に検査面に衝突し,検査面を加振する.検査面にうきやはく離が存在すると特異な音響を発生する.この音響を収集して,構造物の健全性を評価する.


 

 図2は人工欠陥を埋め込んだコンクリート試験の走行試験の様子である.ウォータジェットが当たった位置と音響パワーの関係を図3に示す.欠陥の位置(中央)にパワーの上昇が見える.