●CADモデリングにおけるCFRP構造の簡易モデル
高強度・高剛性で軽量であるという優れた特性を有するCFRPは強い異方性を示す材料であるため,製造方法や構造により機械的強度の著しい変化を示す.そのCFRPの基本的な材料特性を活用するために,3点曲げ試験の結果をもとに簡易CADモデルを用いてCFRPの特性を再現した.実際の繊維クロスをFig. 1の左側に示す.提案した簡易モデルでは右側に示すような一方向強化層を2枚直交に積層したものを1セットとして繊維クロスを再現した.このモデルを用いて実際の3点曲げ試験と同様に0°方向と45°方向に対して3点曲げのシミュレーションを行い,実際の3点曲げ試験と同様の結果が得られることを確認した.

●単純形状のモデルを用いたシミュレーション
Fig. 2に示すようなパイプ形状および楕円中空管モデルを用いてシミュレーションを行った.楕円モデルは縦軸半径と横軸半径の比を変化させた4種類のモデルを用いた.シミュレーションの結果をFig. 3に示す.縦軸は楕円断面のモデルを用いて3点曲げのシミュレーションを行いその結果から求めたヤング率を一方向強化CFRPの長手方向のヤング率で割った値を示している.シミュレーションにおいてCFRPの強い異方性による繊維方向の影響が再現できている.このような特性を積極的に活用することにより,設計およびデザインにおいて新しい機能を付加して価値を高めるような製品の可能性を探っている.