●巨大ひずみ加工による形状記憶合金の組織変化
高温型形状記憶合金として期待されるTi-Pd合金やTi-Pt合金,さらには低温にマルテンサイト変態を有するTi-Pd-Fe合金やZr-Co-Ni合金等に巨大ひずみ加工を施した際の組織変化について,シンクロトロンやTEMを駆使して解析を行っている(Fig. 1)。また形状記憶・超弾性特性におよぼす変形組織の影響も調査することで,機能特性の向上に関する材料設計への指針を導く。

●Zr基およびHf基合金におけるマルテンサイト変態の微細構造解析
Zr基およびHf基合金において,新たに発見した熱弾性・非熱弾性両方の特性を併せ持つ特異なマルテンサイト変態について,主に透過型電子顕微鏡(TEM)やXRD測定による微細構造解析を実施している。なかでもⅣ族-Ⅹ族元素の組合せによる合金では,高温にマルテンサイト変態が存在するため,高温型形状記憶合金としての開発も行っている(Fig. 2) 。

●バルク金属から作り出すフレキシブル導電性Ⅳ族系酸化物半導体の開発
金属を大気中にて熱処理し酸化させる簡便プロセスにより,光エネルギーを電気エネルギーに変換するバンドギャップの小さな(可視光が取り込めるように目標値:1.6 eV以下)導電性Ⅳ族系酸化物半導体を作製している。本プロセスによれば,出発材料として金属板や金属箔を用いるため,任意の複雑形状やミクロン単位の薄膜となるフレキシブル半導体が作製可能である。さらに表面酸化物の層厚を制御することで,金属-半導体の任意の厚さの傾斜機能材料や半導体板材・薄膜単体も作製できる。