●電力自由化後の電気事業
電気事業は膨大な投資を数十年かけて回収する。電力の自由化前は総括原価方式により、投資へのリスクがないので、一般に純現在価値法(NPV法)により事業を評価してきた。しかし、今後は電気事業もさまざまなリスクに直面するため、リスクを考慮に入れた事業価値手法が求められている。そのような手法として、期待効用理論に基づくUNPV法(図1)が提案されている。


●UNPV法による太陽光発電事業の評価
太陽光発電事業は、固定価格買取制度(FIT)でkWh当たりの単価が固定されていても、日射量だけでなく、規模のリスクを抱えている。異なる3地点の太陽光発電事業にUNPV法を適用し、規模λを横軸に取って、平均分散法(MV法)と比較した結果を図2に示す。宮崎は日照条件がよく、純現在価値(NPV)が負とならないため、UNPV法では規模を大きくしても常に正に評価するが、MV法は分散をリスクとして評価するため、プラス側の分散もリスクと評価と見て、規模を大きくすることを正当化しない。他の2地点では、NPVが負となるケースもあるため、UNPV法の最大点が最適投資規模として示される。