● 有機半導体の単結晶化法の開発
高キャリア移動度を有する有機半導体デバイスを作製するために、低分子有機半導体の単結晶化が重要である。通常の溶液の蒸発で生じる濃度勾配を利用した手法は、単結晶のマイクロサイズ化する上で、結晶の形状、位置、分子配向の制御が原理上難しかった。我々は、溶媒蒸発が無く比較的結晶成長条件(核生成と核成長)の制御が簡単な密閉系に着目し、低分子有機半導体の相図に基づいて、キャピラリー中に単結晶の作製に成功し、マイクロサイズの単結晶の形状や分子配向を制御できる可能性の道を切り開いた(図1)。

●近赤外多波長アチュエータの創出
生体内でリモートコントロールできるマイクロマシンを作製するために、近赤外光応答ソフトアクチュエーターが注目されている。しかし、従来のカーボン系光熱変換材料は波長選択性が低いために、光の照射位置でしかアクチュエータ動作のON/OFF制御ができず、マイクロサイズでのアクチュエータ駆動が実現できなかった。我々は、吸収線幅が狭い希土類元素を用いて、多波長応答ソフトアクチュエータを作製し、マイクロソフトアクチュエータを波長制御で自由に動かせる可能性を示した(図2)。