パラジウムは、0価 / 2価のレドックスサイクルに基づいて、分子状酸素を用いる有機化合物の酸化反応(脱水素反応)に対して優れた触媒活性を示す。一方、2価パラジウム種は、アルキンとπ錯体を形成することでアルキンを求電子的に活性化する。これらパラジウムの機能を協同させることで新たなアルキンの環化脱水素化を開発するとともに、フラン環やインドール環を含むユニークなヘテロヘリセン各種の合成に成功した。
 また、パラジウムの代わりにヨウ素を用いる環化反応の開発にも成功しており、その反応を鍵として、ヘテロヘリセンのグラム量合成を容易に行うことができる。