【背景・目的】

 アフリカ東部の地下に生息する齧歯類ハダカデバネズミ(Naked mole-rat, Heterocephalus glaber, デバ)は、マウスと同等の大きさながら約30年の長寿命を持ち、老化耐性・がん化耐性の特徴をもつことが知られている。
 当講座は、日本唯一のハダカデバネズミの飼育・研究拠点であり、ハダカデバネズミ特異的な老化耐性・がん化耐性の制御機構および関与遺伝子の解明を目的として、研究を進めている。
 これまでにハダカデバネズミiPS細胞を世界で初めて樹立し、動物種特異的な腫瘍化耐性機構をもつことを解明し(Nature Commun. 2016)、さらに個体の炎症応答減弱を介した発がん耐性機構(Commun. Biol. 2022)などを明らかにしてきた。ハダカデバネズミを研究することで、他の動物種には無い、新たな老化・がん化耐性の分子機構を同定できると考えられる。

 

【研究概要】

 現在、細胞老化や遺伝子発現制御など様々な観点から、細胞レベル・個体レベルでの老化耐性・発がん耐性の分子機構に関して、研究を精力的に展開している。