【背景・目的】

 がん細胞と腫瘍免疫の関係を研究する中で、がん細胞におけるHippo細胞内シグナルが、宿主のがんに対する細胞性免疫応答の誘導に関わることを発見した(Cell, 2016)。
 この発見を応用し、細胞性免疫応答の効率的な誘導方法を開発することで、がんや感染症の治療薬開発をめざす。

 

【研究概要】


Hippoシグナルによる細胞性免疫応答の誘導には、がん細胞が分泌する細胞外小胞が関与することがわかった。
Hippoシグナル作用薬を開発することにより、がん免疫の誘導によるがん治療効果が期待される。
Hippoシグナルが抑制されたがん細胞から放出される細胞外小胞を模倣することで、がん免疫の誘導が期待できる。
Hippoシグナル作用薬や細胞外小胞を模倣した微粒子を用いて、がんの治療効果が確認できた(予備的研究)。

 

 

【がん治療への展開】免疫チェックポイント阻害剤とは異なる作用機序により、がん細胞の免疫原性を高めることが期待される。
【感染症治療への展開】細胞性免疫を高めるワクチン開発が期待される。
【波及効果】Hippo経路は組織再生など他の幅広い生命現象にも関与しているため、その作用薬開発は再生医療への応用も期待される。
【優位性】Hippo経路はシグナル伝達経路の中では研究の歴史が浅く、今後の薬剤開発が期待されている。当研究者は、Hippo研究に関する多くの研究実績を重ねてきた。