1.介形虫(甲殻類)を用いた古環境復元

 介形虫は、カイミジンコとも呼ばれるエビやカニの仲間(甲殻類)です。大きさは通常1mmよりも小さく、カニを中軸から折りたたんで、肢を殻の中に納めたような姿をしています。殻が石灰質でできているため、微化石として堆積物中に大量に保存されます。介形虫は生涯、底生生活を営むことから、移動能力が低く、地域固有性が高い生物です。そのため、

   A)局所的な地域の詳細な古環境の復元

   B)古地理の復元

   C)環境指標として、底層の水質状態の解読

   D)津波など過去の沿岸域の自然災害の認定

   E)環境変化に伴う、種多様性の変化の推測

2.微化石の技術を応用した博物学的資料の再評価

 微化石の抽出や観察法、クリーニング技術を博物学的資料に適用することで、新たな付加価値を創出できる可能性があります。例えば、

   A)無脊椎動物各種の中枢神経系標本の作製

   B)X線CT・顕微鏡(委託)による内部構造の認定      

   C)ミクロな視点での地質現象の観察

などがあげられます。

3.古生物の魅力の発信

 1、2の成果をマスメディアや普及書、専門書、講演等を通じて社会に発信することで、古生物研究の重要性を伝えるとともに、分野横断的な研究の発展に寄与できる可能性があります。