【背景・目的】

 骨格筋は,運動器としての役割に加え,体重の4割を占める生体内最大のエネルギー代謝臓器でもあります。したがって,骨格筋の異常はロコモティブシンドロームやメタボリックシンドロームの発症の引き金になります。また,疫学研究から,筋量・筋力は,心血管系疾患率,がん発症率,認知能低下率と逆相関し,寿命と正の相関を示すという興味深いエビデンスが蓄積されています。すなわち,骨格筋を健常に保つことは,莫大な医療費の削減と人生100年時代を豊かに生き抜く鍵になるといえます。当研究室は,骨格筋の肥大-萎縮や再生の仕組みを理解すること,さらに骨格筋の加齢変容や難治性筋疾患等の病態メカニズムを解明することで,筋脆弱症に対する新たな介入戦略を構築します。

 

【研究概要】

1.骨格筋の肥大-萎縮の分子基盤の解明
ヒトへの応用を見据え,さまざまなマウスモデルを駆使して,骨格筋の肥大や萎縮の分子メカニズムの解明に取り組みます。

2.筋幹細胞を標的にした筋再生治療の開発
将来の再生医療の開発を目指し,筋幹細胞の運命決定の分子機構の解明を行います。Pax7-YFPマウスの作出に成功し,あらゆる筋部位から筋幹細胞を採取できます(下図)。

優位性:当分野において国内外で屈指の技術を有します。