【背景・目的】

　ニーマンピック病C型（NPC）は、NPC1またはNPC2遺伝子の変異により生ずる劣性遺伝病で、ライソゾーム病の1つとして難病指定されている。NPCでは細胞内コレステロール輸送・転送障害が起こり、遊離型コレステロールを含有するライソゾームが停滞・沈着した状態となり、生命活動を維持する上で重要なオートファジーなどの細胞の品質管理機能が著しく低下した状態となる。NPC病変は特に中枢神経系で顕著に見られ、運動機能の破綻が見られ生命予後も悪く、治療薬の開発が急務な疾患である。

【研究概要】

　2－ヒドロキシブチル－γ－シクロデキストリン（HBGCD）は、ニーマンピック病C型（NPC）治療薬として臨床試験が進められている環状オリゴ糖２－ヒドロキシプロピル－β－シクロデキストリン（HPBCD）よりも、有効性と安全性の両面で優れた細胞内コレステロール輸送障害の治療薬又は予防薬可能性を示した。

各種シクロデキストリンの治療濃度と毒性濃度の関係性評価(安全係数の算出)
 

　上図より、培養細胞を用いた解析でHBGCDは安全性が高いことが示唆された。

　上図より、HBGCDを用いることで、NPCモデルマウスでの生存率の改善が確認された。

【本発明の優位性】