【研究内容】

1. 脳内出血の病理形成機序の解析と保護薬の探索
 脳内出血は、適切な治療法の確立が強く望まれる疾患の一つです。私たちは血中プロテアーゼであるトロンビンの神経毒性に着目し、脳組織培養切片を用いたトロンビン毒性の機序の解析とin vivo脳内出血モデル動物の病理形成機序の解析に基づいて、新規の脳内出血治療薬候補化合物、あるいは治療薬のターゲットとなりうる分子およびシグナル伝達経路の同定を目指した研究を展開しています。

(図1) 脳内出血の病理形成機序

 

2. ドパミンニューロンの変性機序の解析と保護薬の探索
 パーキンソン病の特徴である黒質ドパミンニューロンの変性には、多様な因子の関与することが明らかになってきています。私たちはミクログリアの活性化を伴う炎症性応答の役割を重視し、培養中脳組織切片を用いてドパミンニューロン変性の機序の解析を行ってきました。現在はin vivoドパミンニューロン変性モデル動物も用いながらドパミンニューロン変性を抑制する薬物の探索を行っています。最近、レチノイド受容体作用薬のドパミンニューロン保護作用を明らかにし、その詳細な作用機序の解析も進めています。


(図2) パーキンソン病の病理形成機序

 

【可能な技術提供】

脳諸部位の組織切片の培養
 組織培養は神経科学研究において重要な手法の一つです。当研究室では、中脳、視床下部、大脳皮質-線条体の組織切片培養を常時行っております。組織培養をこれから始めてみたいという方、始めてみたけれどもあまりうまく行かないという方、技術面での疑問点等、何でもご相談ください。