【背景・目的】

 広告において、商品・サービスの特徴を印象付けるために強調表示が用いられるが、不当表示とならないよう打消し表示の記載が必要である。打消し表示については、あまり小さい文字にしないこと等の規制が議論されている。本研究では、打消し表示に係る規制を効果的に行うために、ランダム比較実験による実証実験を行った。
 

【研究概要】

 


図1. 各箇所をどの程度見たか【1 (まったく見なかった) ~ 6 (よく見た) 】を質問

 

広告の種類 (図1の左と右の広告の2つ)、打消し表示の位置 (図1の位置のものと図1の (6) より下の位置の2つ)、打消し表示の文字の大きさ (フォントサイズ 6pt,8pt,10pt,12ptの4つ) を変化させて16個の広告を作成し、調査対象者 (表1) にそのいずれかをランダムに割り当てるランダム化比較実験を行った。

調査対象者に、広告の各箇所をどの程度見たかを質問したところ、いずれの広告でも、強調表示の部分を見た程度は高かったのに対し、打消し表示の部分 (左の広告では (4)、右の広告では (5) の部分) を見た程度はそれより低かった。

さらに、三元配置分散分析を行ったところ、打消し表示の位置や文字の大きさの主効果は有意でなかった。

つまり、打消し表示の文字の位置や大きさは、当該表示を見る程度にそれほど影響を与えなかった。