【技術紹介】
■ 赤外線サーモグラフィ画像を利用した鋼橋に生じた疲労き裂の検出手法
日本国内の橋梁の多くは、高度経済成長期に建設されてきました。しかしながら、1980年代から鋼橋において、疲労き裂の発生が報告されるようになりました。疲労き裂は、脆性的な破壊を引き起こし、橋梁の安全性に重大な影響を及ぼす可能性があるため、早期の発見および補修が重要となっています。
これまでに、疲労き裂等の損傷を検出する様々な手法が提案されてきましたが、これらの手法は、その検出の過程において橋に近接する必要があるといった点、また塗装を除去する必要があるといった点から、施工性に課題を抱えています。
本研究では、これら諸課題を解決する手法として、き裂部分を熱が伝導しないことに着目し、赤外線サーモグラフィによるき裂の検出を試みています。具体的には、計測の対象となる部材に能動的に熱を負荷し、赤外線サーモグラフィにより撮影、画像処理によりき裂の抽出を行います。現在は鋼部材を対象としていますが、コンクリートやFRPといった、他の建設材料への適用の拡大を目標としています。
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供試体リブ近傍に生じた疲労亀裂 | 赤外線サーモグラフィ画像 | 画像処理後 |
■ 構造部材の局所振動計測に基づく現有応力評価手法
構造部材に作用する現有応力の評価手法の開発はこれまで、様々な手法が検討されてきましたが、非破壊的かつ、現場での適用が簡便な手法は未だ開発されていません。本研究では、圧縮荷重が作用した際に、部材の固有振動数が減少することに着目し、部材の振動数を計測することにより、作用する現有応力の評価を行うものとなります。