身の周りの環境をどのように捉えていますか

大学院自然科学研究科 環境共生工学専攻 人間環境計画学講座
准教授・植田 宏

E-mail:unamueda@gpo.kumamoto-u.ac.jp
屋外空間の捉え方について
 町なみ空間の評価が一つの柱になっています。道幅や道路の傾き、軒先の高さや建物の高さ・色彩、看板や電柱、植物の緑など、往来する人々の目に留まる中景・近景での町並みのデザイン要素を収集し、検討・評価することによって、古い町並みにはめ込まれた新たな建物のデザインや、郊外に作られるニュウータウン、集落の評価基準を作製することを目的としています。この研究では、数組の形容詞対を7(または5)段階で評価するSD法を使用しています。属性に基づく単純な集計の後に、因子分析を行い、重要な因子を取り出し町並みの特徴を考察をしています。ここ数年は阿蘇郡南小国町黒川温泉地区を中心としてとりあげ、通りの流れに沿った景観だけでなく、通りの断面構成についても考察を行っています。また、町おこし運動には欠かせない観光地情報に関し、同地区を紹介する写真から見た来訪前の期待する雰囲気と来訪後の印象との違いなども考察し、町並みより一回り大きな、集落全体のイメージ形成に関しても研究しています。(右図上は色彩シミュレーション実験結果例です。)
室内空間の捉え方について
 この評価については「魅力工学」に基づいています。よくて当たり前、よくなくても我慢できる、等々の空間の魅力を計ることを目的としています。客観的な調査項目決定するために、自由記述による事前アンケートを実施し、KJ法による分類、テキストマイニング等による記述内容の対応分析を行っています。その後に、各項目についての重要度、現状レベル、満足度等に関し空間の使用者に対し、アンケート調査を行い分析します。空間に対する集団的な視点で要求を把握し、次段階での建築計画に反映させることが出来ます。これまでに、黒川温泉の旅館や五木村頭地代替地住宅などで調査を行ってきました。黒川温泉の場合には、すぐに旅館の改装に結びつくことが予想されています。この手法を景観評価にも応用したいと考えています。

(図1)

(図2)
[キーワード] 心理評価、SD法、魅力工学
身の丈の人間を中心とした、周りの世界の捉え方について考えています。『空間の捕らえ方について』では、実空間の情報を整理し、新たな創造へ繋ぐという観点からの研究です。この延長として『絵画における空間表現』についても研究しています。これは、目に映った情報の表現と、表現されたものをいかに想像理解するかという観点からの研究です。