酵素を用いたバイオ燃料電池の開発

大学院自然科学研究科 複合新領域科学専攻
准教授・冨永 昌人
E-mail:masato@gpo.kumamoto-u.ac.jp
研究内容
 ナノメートルサイズの炭素素材として、カーボンナノチューブやグラフェンチップに注目しています。これらのナノ炭素材料は優れた導電特性と広い比表面積を有するために燃料電池やキャパシタ等の電極材料として優れています。
 本研究者は、金属基板上へのCNTの直接合成に成功しました。本CNT複合電極は、1)CNTと金属基板との強固な結合、2)基板金属の形状の自由性、3)優れた界面導電性(低いオーミック抵抗)、4)清浄なCNT界面の確保、に特徴があります(特許申請中)。また、CNT複合電極に酵素を吸着固定化することで、バイオセンサやバイオ燃料電池を容易に作製できます(下図)。
 申請者が作製する「酵素を用いたバイオ燃料電池」の特徴は、酵素と電極間で直接的な電子授受が行われることです。すなわち、通常用いられる電子メディエータ(電子媒体)は用いません。従いまして、電極と酵素のみから、酸化極および還元極を作製されており、極めてシンプルな燃料電池セルに設計できます。当然、セパレータは必要ありません。現在、数mW/cm2の出力を得るのに成功しています。鉛筆の芯程度の電極でLEDは容易に発光します(下図)。もう少し電極面積を大きくしますとモーター駆動も容易にできます。本技術は、酵素センサなどへの応用も可能です。

[キーワード] 酵素、燃料電池、ナノカーボン / keywords: enzyme、fuel cell、nano carbon
下記の解説をご参考ください(Webで検索しますと、文献を読むことができます):
1)冨永他、「酵素修飾ナノ構造炭素電極とバイオ燃料電池」、フォーカス26<第29回>:成果事例クローズアップ(九州地区ナノテクノロジー拠点ネットワーク).
2)冨永、「固液界面の電荷移動反応に優れた. カーボンナノチューブ複合電極」、平成23年7月21日 JST新 技術説明会(東京)
*酵素を用いたバイオ燃料電池の基礎から応用展開について、講演のご依頼等ございましたら対応致します。