わが国には108個の活火山が存在しており,幾度にもわたる激しい噴火活動によってさまざまな地形変化が発生するとともに,周辺地域の自然環境にも大きな影響を及ぼしています.また,火山周辺域では噴火活動終了後も長期間にわたって斜面崩壊や土石流などの自然災害が起こっています.こうした火山地域を対象に,フィールドワークを主体とした以下のような研究を行っています。
1. テフロクロノロジー(火山灰層序学)による火山噴火活動史の解明
2. 火山周辺域の環境変遷に関する研究
3. 火口湖をもつ火山の微小噴火活動に関する研究
4. 崩壊・土石流など自然災害発生メカニズムの解明
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1. 阿蘇カルデラ周辺における草原の歴史
阿蘇カルデラの周辺域にはわが国最大級の草原が広がっています.この広大な草原の歴史を科学的に解明するため,植物珪酸体や微粒炭分析による研究を行っています.その結果,阿蘇の草原は千年の草原と呼ばれてきましたが,1万年以上の歴史をもつ可能性が出てきました.こうした長期間にわたる草原の継続には火事の発生と密接な関係があることもわかってきています。
2. 阿蘇カルデラで発生した記録的豪雨による土砂災害
阿蘇カルデラとその周辺域では,1953年6月や1990年7月に斜面崩壊や土石流などの土砂災害が起こっています.また,2012年7月の記録的豪雨によっても甚大な災害が発生し,多くの尊い人命が奪われました.こうした土砂災害は火山地域特有の現象であり,その地質学的特徴に関する現地調査を行っています。
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1万年以上の歴史をもつ阿蘇の草原
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2012年7月豪雨で発生したカルデラ壁の斜面崩壊
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