【背景・目的】

 近年、子どもの適応能力は遺伝子 ✕ 環境 (家庭、学校など) の相互作用を通じて影響していると考えられており、遺伝多型などの生物学的指標の関与はさらなる普遍性を与える因子として注目されている。COMT (Catechol-O-methyltransferase) 遺伝子多型は、不安や落ち込みにも関連しており、成人を対象とした研究では、幼少期に受けた親の養育と現在の不安感にも作用していることが報告されている。本研究では、それらの関係性について調査した。
 

【研究概要】

研究方法

対象者 : 健常な小学生高学年から中学生 (11歳ー15歳、平均年齢 : 13.34歳) の男女70名(男子39名、女子31名)

YSR (ユースセルフレポート)
EMBU-C (Egna Minne Betraffande Uppfostran-for Children : 両親の養育態度 : 子ども版)
①心理的暖かみ、②拒絶、③過干渉、④心配性 各項目の得点を測定

◎遺伝子多型
綿棒で口腔内粘膜採取を行った。解析にはSNP genotyping system (Applied Biosystems) によるTaqMan Assaysを使用した。

 

結果及びまとめ

・内向的問題、トータルプロブレムに関して、GG群において有意に得点が高く、COMT遺伝多型と一部メンタルヘルスとの関係性が示唆された。

・拒絶感の高いグループのAG/AA群において、有意に得点が高く、特に母親からの拒絶感が子どものメンタルヘルスに影響しやすいことが示唆された。