研究内容 1】

 我が国発の「有機半導体」研究は、現在では有機太陽電池、有機EL、有機FETなどの素子への適用が実用化レベルで行われており、有機化合物、金属錯体化合物を用いた電子機能性材料の開発と評価を行っている。例えば、金属フタロシアニンは有機半導体素子において最も広く用いられている分子の一つであるが、ジシアノ鉄フタロシアニンを用いた有機導電体において、磁場による二桁以上の抵抗減少効果 (負の磁気抵抗効果) を発現させることに成功している。


ジシアノ鉄フタロシアニンで見いだされた巨大な負の磁気抵抗効果

 

【研究内容 2】

 新規現象を生み出す有機薄膜素子作製も行っている。例えば、外部環境により磁気特性の変化する「スピンクロスオーバー錯体」を有機ELに組み込むと、スピン転移に伴うELのon-off制御が可能になることを見いだした。有機導電体薄膜の作製法開発や、それを用いた有機EL素子、太陽電池素子作製も行っている。


スピン転移によるELのon-off制御